「初夏の足音と、心が整う季節。」

5月。

春の名残をわずかに感じながらも、確実に「夏」の足音が近づいてくる、そんな季節です。

朝の空気にはまだ少しひんやりとした春の名残が残っていて、窓を開けると優しい風が頬を撫でてくれます。でも昼間になると日差しはぐっと強くなり、気づけば汗ばむ陽気。木々は一斉に新緑をまとい、柔らかかった葉は、どんどん力強く、逞しくなっていきます。

この季節の色は、まさに“命の色”。生命力に満ちた緑が、街を、山を、道を染めていきます。

5月の風は、とても好きです。

湿度もまだ低く、まっすぐで爽やか。

季節の中でいちばん心が整うような、静かだけれど確かな美しさがあります。

冬や春に溜め込んでいた重たい感情や疲れを、そっと吹き飛ばしてくれるような感覚。

「よし、また前を向いてがんばってみよう」そんな気持ちに自然となれるのは、やっぱりこの季節のおかげかもしれません。

街中を歩くと、半袖姿の人も増えてきました。

アイスコーヒーを片手に、日傘を差して、ちょっとおしゃれして出かけたくなる気分。

衣替えをしながら、タンスの奥にしまってあったお気に入りの夏服を引っ張り出して、「今年はどんな夏になるだろう」とふと思う瞬間。

それだけで、なんだか心がときめきます。

そして5月は「始まり」の象徴でもあります。

進学、就職、新生活のバタバタがようやく落ち着き、自分のペースが整ってくる時期。

それと同時に、自分自身の内面と向き合いやすいタイミングでもあります。

気候も穏やかで、心も身体も動かしやすい。だからこそ、この季節に何かを始める人が多いのも納得です。

もし、何かに迷っていたり、疲れていたり、焦っていたりしたら。

この5月という季節に、少しだけ自分を預けてみてください。

自然のリズムに身を任せて、ただ風を感じたり、空を見上げたりするだけでも、きっと何かが整っていくはずです。

新緑のなかで、深呼吸。

それだけで、明日はきっと、少しだけ軽くなる。

そんな優しさを秘めた季節、5月。

この美しい季節を、どうか心いっぱいに味わってください。